生きるためのセミリタイア

当たり前を疑い、40代セミリタイアを目指す

仕事の愚痴は言わない(意識低い理由で)

休日は仕事のことを忘れる

休日には、通勤カバンをクローゼットの中の目につきにくいところに押し込んでいる。
見たくない、仕事を思い出したくないからだ。
現実逃避だとしても、休日くらいは仕事のことを忘れて楽しい気分でいたい。

平日はどうせすぐ使うし面倒だから出しっぱなし。ただし、家具の陰みたいな目立たないところに置いている。

プライベートの時間にまで仕事の愚痴を言う人が理解できない

私はそれくらい仕事が嫌いだから、友人などに仕事の愚痴を言いまくるかといえば、ほとんど言わない。
労働自体をしたくないという話はするけど、相手に聞かれない限り、忙しいかそうでもないかくらいしか仕事の話をしない。

「愚痴を言う暇があったら環境を変えろ」「さっさと転職しろ」とか、そういう意識高い理由ではなく、
通勤カバンと同じで、とにかく仕事のことを思い出したくないからだ。
せっかく友人と話しているんだから、楽しい時間にしたい。

こちらが会ったこともない上司や同僚などの批判を繰り広げられても、相槌くらいしかしてあげられることはないし、
基本的に「知らないおじさん」の話なので、余程強烈な個性でもない限り、興味津々になれる話題ではないだろう。
相手が愚痴を言いたいなら普通に聞くし、別に苦痛とかでもないのだが、あんまり毎回繰り返されたりするとしんどいかなと思う。
気の利いたあだ名でもつけて、ネタとして面白おかしく話せるところまで行っていれば、まぁ聞いてて楽しいかもしれない。

プライベートの時間なんていくらでも楽しい方に持っていけるのに、
貴重な時間を灰色で塗りつぶすようなことをするのはもったいなさすぎる。
だから友人に仕事の愚痴は言わないし、休日はきれいさっぱり仕事のことを忘れる。
四六時中仕事のことを考えるなんていうのは雇われている側がすることではなく、経営者に任せておけばよい。

ストッキングが大嫌い

ストッキング離れ

2014年頃は、若い人がカジュアルな服装に意外とストッキングを合わせていた。20歳くらいの人がスニーカーやサンダルでもストッキングを履いているのを結構見かけた。
私の世代だと「おばさんぽい」と思われる合わせ方なので驚いたが、とにかく脚をきれいに見せたいというニーズがあったようだ。

それが、ファッションのカジュアル化や猛暑の影響、フットカバーの普及などによりもともとストッキングが履かれなくなっていたところに、
コロナがとどめをさした。家でストッキングを履く人はいないからだ。

私自身、コロナ以前から既にストッキングを履いていない。
結婚式に呼ばれたときに履いたのを最後に、数年経過している。そのときも、1回しか履かないのにと渋々買った。

ストッキングは実用性皆無

夏は暑苦しいし、履いていても蚊には刺される。
冬に履いても防寒性は皆無。タイツは暖かいからいい。タイツは実用品だ。

ストッキングは、セットであるパンプスと致命的なほど相性が悪い。
靴の中で滑ってかかとが抜けそうになるし、汗を吸収することもないから靴が臭くなる。

紙袋の角が当たるだけで破れる。最短で、履くときに破れる。

こんなわけのわからない特殊で実用性のないものを、マナーとして必須にするのは勘弁してほしい。
10cmのピンヒールとか、立体的な飾り満載のネイルとかと同じくらい、趣味的なカテゴリに入れておきたい。

リクルートスーツやフォーマルドレスでは大抵脚が見えるのが当たり前とされている。でも、生脚=むき出しの女性性は許されず、
「ナチュラル」なストッキングという科学繊維を1枚かぶせて、あくまでも加工された女性性を見せることを求められている感じがとても気持ち悪い。

ストッキングを履くとき、

人は女に生まれるのではない、女になるのだ

シモーヌ・ド・ボーヴォワール

という言葉が頭の中で響く。家に着いたら即脱ぎ捨てる。

女性就活生の服装

男性就活生はたぶんそのままの格好で高尾山に登れるが、女性就活生は厳しいだろう。
それは体力の問題ではない。靴と服装のせいだ。
有利な点があるとすれば、男性の手持ちブリーフケースと比べてカバンの持ち手が長く、肩にかけられる点くらいか。
どうしてもパンプスがハンデになるだろう。たぶん出血せずに登りきることはできないと思う。

業界によっては、ストラップ付きはNGとか言われることもあるらしい。
なんで他人の靴をお前が決めるんだ、決められると思っているんだ。黙っとけ。
そんな靴を履いていて地震や火事に遭って逃げ遅れても、誰も助けてくれないのに。

男性も1日でいいから女装してみたらいい。
10cmのピンヒールとかつけまつげとかそういう分かりやすい装飾品で盛る必要はなくて、
就活生に一般的な5cmヒールのパンプスとストッキング、タイトスカートを履き、
朝出かける前に「ナチュラルメイク」をしてほしい。

タイトスカートは和服に近い動きにくさがあり、これも実用性に乏しいにもかかわらず、女性用スーツのスタンダードとされている。
ジャケットもスカートも、パンツスーツでも「体のラインをきれいに見せる」タイトなシルエットのせいかポケットがない、あっても物が入らない。
そのせいで素早くスマホとかペンとか必要なものを取り出せず、靴のせいで歩きにくいのも相まって「トロい」と思われることもあるかもしれない。
全身が必要性に乏しいもので拘束されているから、動きにくいだけなのだ。

女性服のポケットをもっと充実させればひったくり対策にもなりそうだ。

○○離れというより、もともとがおかしかった

ストッキングに限らず○○離れとよくいわれるが、そもそもなんでそれが一般的だったのか、むしろそっちの方が変だったのではないかと疑ってみたらいいと思う。
なんで暖かくもない破れやすいものをいちいち履いていたのか?
なぜ脚を出し、それを「きれいに見せる」必要があったのか?

肩パット離れ、トサカ前髪離れとは言わないわけで、ちょっと長かっただけの一過性のブームなんじゃないか。

私はもう結婚式に呼ばれでもしない限り、ストッキングは履かない。

 

家計簿を続けるコツ5選

かれこれ丸3年以上、家計簿を継続できている。
過去に一度挫折したこともあるので、めんどくさがりでも続くコツを紹介したい。

 1.アプリの活用

無料アプリで十分。私は「らくな家計簿」を愛用している。
勝手に集計してグラフなども作ってくれるので楽しい。
それより前に使っていたものは、あまり直感的に使えずやけに時間がかかって、すぐにやめてしまった。
少し使ってみて自分に合わなければ、別のものを使用する。

2.できるだけその日のうちにつける

ためるとめんどくさいし、レシートがなくて忘れてしまうものも出てくる。
スマホなら移動中などにも入力できるし、その場でつけるか、できるだけその日のうちに入力しておく。

また、お金を使わなければ入力しなくて済むので、今日はお金を使わない日にしようと思えるメリットもある。

3.細かい内訳までは入力しない

例)分類:食費、内容:スーパー、金額:540円

記入内容はこれくらい。きゅうり○円、とかはいちいち書かない。
ただし、同じ店舗で買っていても、食品とそれ以外は分ける。
市販の紙の家計簿はここがやたら細かかったりするので、挫折のもとである。

4.最初は期間限定で始める

まずは1か月分把握できれば、「ここは思ったよりお金使ってるな」というのがわかるので効果はある。
1か月が辛ければ、1週間でも可。この期間だけと思えば多少は頑張れる。

5.振り返る

つけっぱなしでは、家計簿の意義が半減してしまう。
今月はどれくらい使ったかなと、集計画面をチェックする。
月末だけでなく月の半ばでも、例えば食費の集計を見てみて、もう半月分を超えそうだったら支出を抑えるなど対策をとれる。

まとめ

上記をまとめると、できるだけハードルを下げ、継続と活用の好循環を作ること。
活用できれば、節約というメリットがあるので続けられる。
これがめんどくさがりでも3年以上継続できたコツである。

 

生きてる実感とセミリタイア

生きるためにセミリタイアを考えている。
働かないで済むように極力お金を使わないって、「そんなの生きてて楽しいの」という人もいるかもしれない。

でも私の場合、生きるために労働とそれを強いる社会から離れる必要があるのだ。

私が生きてると実感するのは、季節によって光の色合いが変わる感じとか、
沈丁花や金木犀の香りとか、日差しの暖かさとか、そういうものを感じ取って味わうときだ。

以前、仕事がすごく忙しかったとき、桜の花もろくに見ないまま散ってしまいそうだった。
通院のために当日午前休を取って、余った時間に桜で有名な公園へ行った。
圧倒されるようなボリュームの花、花、花の洪水。
春物のコートもいらないくらいの陽気。

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こういうものを味わって心を動かすことがないなら、生きてるとは言えないんじゃないか。
その時、労働についての考え方が変わったように思う。

今のところは労働してお金を稼がないと、生活ができない。
でも、労働していない時間の方が人生のメインだと思っている。休日こそが本番だ。

仕事が楽しくて生きがいだという人は羨ましいけれど、私はそうはなれなかった。
仕事で自己実現はできなかった。
生きていくために働いているだけであって、働くために生きているわけではない。

私の好きな瞬間を得るためには、お金はほとんど必要ない。ただ、時間と心の余裕が必要だ。
生きてると実感できる時間をできるだけ長く取るために、労働に心身を支配され蝕まれてしまわないようにする。
そのための、生きるためのセミリタイアなのだ。

デパートのクレジットカード(エムアイカード)を解約した話

カードを解約したので、その方法を記録しておく。

 

カード解約を決意するまで

先日、エムアイカード(三越伊勢丹のクレジットカード)から「ご請求金額のご案内」という月1のメールが来ていた。
利用していない月でも不正利用などがないか一応確認するのだが、今回は使った覚えがないのに2,200円の請求となっていた。

一度も使っていないのになんで?と思ったら、年会費(税込)だった。

コロナ以前の時点で行動範囲が変わって伊勢丹も三越も行っておらず、デパート自体に行かなくなっていた。
2,200円はバカにできない金額だし、デパートで服や化粧品を買うこともおそらくもうない。もし行ってもデパ地下ぐらいだと思う。

確かポイント還元率から計算すると年間4万円くらい使わないと元が取れないのだが、そんなに使わない。この機会にもう、解約してしまうことにした。

解約の手順

(1)解約手続きを調べる

解約とか退会とか、そういうのは大体分かりにくいところにあるものだ。
覚悟して探してみたら、意外とすぐに見つかった。

よくあるご質問→カテゴリからQAを探す→カードの解約

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→Q.エムアイカードの退会(解約)はどのようにしたらいいですか?

faq.micard.co.jp

 

ここに、

・有効期限月の月末までに退会された場合は次回の年会費はいただきません

と書いてある。危うくこれを逃すところだった。

解約を考えている人は、有効期限月をチェックして早めに手続きをした方がよさそうだ。

 

→お電話でのお問い合わせ(Q&A内から飛べる) 

www2.micard.co.jp

 

時間帯によってはオペレーターがいない。夜間でも自動音声で解約完了までできるらしい。

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 午前10時~午後6時

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(2)電話する

カードを手元に用意して電話する。自動音声に従い、番号を押していく。退会手続きのところまで到達したら、カード番号と暗証番号の入力を求められる。

ちゃんと覚えていればここで完了のはず。

暗証番号を覚えているつもりで電話したのだが、しばらく使っていなかったこともあって3回間違え、ロックされてしまった。営業時間内にかけ直すよう自動音声に言われてしまった。
こういう電話ってなかなかつながらないので、ちゃんと手続きできるか不安になる。

(3)(暗証番号を忘れた場合)営業時間にかけ直し、オペレーターと話す

翌朝、再挑戦。また同じように退会手続きを選び、カード番号を入れたら、
すでに自動では手続きできない状態になっていたので「オペレーターにおつなぎします」と言われる。
呼び出し音が鳴っているが一向につながらず、「大変混みあっております」と繰り返されている。
こうやって解約を諦めさせようとしているのか?と邪推しつつ、3分ほどそのまま待って、通話時間が5分になったら切ろうか…と思っていたら人が出た。意外とスムーズだ。

そこから氏名と生年月日など本人確認をされ、型通りの引き留めのようなものがあった。

Q.退会理由をお知らせいただけますか?
A.デパートに行かないし、使わなくなったからです。

Q.デパート以外でもお使いいただけますが、よろしいですか?
A.大丈夫です。

Q.ポイント*1が残っておりこちらは無効になりますが、よろしいですか?

A.(確認済だったので)大丈夫です。

Q.退会を承りました。(カードにハサミを入れる処分方法の説明。)ご愛顧ありがとうございました。

という流れで、カードを手元において電話するだけで済んだ。

(4)完了のメールを確認し、カードを処分

翌日、退会手続き完了のメールが来て一安心。カードのチップ部分にハサミを入れ、見えないようにゴミへ。

まとめ

暗証番号を忘れてさえいなければ、一回の電話(自動音声)だけで済むので意外と簡単に解約できる。最近デパート行ってないな…という方は、カードの有効期限月を確認するのがおすすめです。

ここ1年弱で解約する人が増えていそうだなと思うと、デパートの苦境のニュースもよく見るし若干気の毒な気もする。

しかし、以前買っていた高い服もデパコスも今考えると分不相応だったし、私はコンビニすらメルカリの発送でしか行かないようにしているのだ。
庶民の私が気にすることではない、デパートの未来は富裕層の方々に任せておこう…

*1:契約更新で付与されたポイントについては、解約するのに利用だけできるか不明。私の場合はちょうどいい互換先もなかったので諦めた

アンケート「クラスタ別 住んでみたい家」

三浦展「下流社会第3章 オヤジ系女子の時代」について

人々の考え方や好みはこんな風に変わってきていますよ、という本がわりと好きで、同じ著者の本を何冊か読んでいる。

 

三浦展「下流社会第3章 オヤジ系女子の時代」(光文社新書、2011年)

本書では、20代30代の女性を趣味によって5クラスタに分類している(文化系、アウトドア系、OL系、手作り系、オタク系)。ざっくりいうと、従来女性は好まないとされてきたオヤジ的趣味嗜好(歴史、登山、古書、建築、立ち飲みなど)を持つ女性が増えていますよという内容。

そのクラスタ別に、家についての好みを調べているアンケートがあり、これが本書で最も印象に残ったので紹介したい。 

クラスタ別 住んでみたい家(複数回答)

<選択肢>
1:昭和以前に建てられた木造の一戸建ての古民家・トトロの家のような家
2:昭和初期以前に建てられた木造の農家
3:京都などの町家
4:コンクリート打ちっ放しの家
5:建築家に頼んでつくった個性的なデザインの家
6:地中海風のリゾートマンション
7:都心の超高層マンション
8:上記に住んでみたいと思うものはない

三浦展「下流社会 第3章 オヤジ系女子の時代」(光文社新書、2011年)

※番号は引用者による

文化系の一番人気は3:京都などの町家 、これはなんとなくわかる。

OL系(美容やグルメなど、従来型の興味関心を持つ層を指す)では6:地中海風のリゾートマンションが1位、手作り系も6が一番人気で僅差2位が5:個性的なデザインの家、といった結果だった。

アンケートについての個人的な感想

自分だったらどう答えるか考えてみたところ、どう考えても8:上記に住んでみたいと思うものはない、になる…全然惹かれる選択肢がない。機能性とか快適さの考え方がなくて、見た目だけじゃない?
デザインの好みなのかライフスタイルの好みなのか、何を把握するためのアンケートなのかピンとこない。

1~3(トトロの家、木造農家、京町家)

寒そう。冬の朝なんか室内でも息が白くなりそう、足とかしもやけになりそう。使いにくくて管理がめんどくさそう。トトロとか昭和初期とか、トイレは汲み取り式?
京都の町家は底冷えして、人間関係もややこしそう。偏見だけど、すごい婉曲に嫌味を言われそう。。

あと、1:昭和以前に建てられた木造の一戸建ての古民家・トトロの家のような家、と2:昭和初期以前に建てられた木造の農家、の違いがよく分からない。どこが違うの?だいぶ重なっている気がする。トトロの家は木造農家の2倍くらい得票しており、トトロというワードが魅力的で想像もしやすかったのかもしれない。

古民家を改装したカフェとかに行くのは好きだけど、古民家に住もうとは思わない。
私が何度か行って気に入っている古民家カフェも、ストーブが何台も置いてあってブランケットも用意されている。
お手洗いを借りたら、普通に同じ屋内にあるしきれいにリフォームされてるけど、「外か?」というくらい寒かった。心臓が弱い人は危ないレベルだった。

4:コンクリート打ちっ放しの家

これもなんか寒そう。コンクリートという素材以外の情報がない。

5:建築家に頼んでつくった個性的なデザインの家

個性的なデザインというのは外観のこと?
家の外観なんて中にいたらわからないし、近所で目立ってもいいことない。

6:地中海風のリゾートマンション

これが一番謎だった。地中海風とは?地中海沿岸にマンションってあんまりなさそうだけど?全然イメージできなくて画像検索してみたけど、特にこれといった典型は出てこなかった。そういう様式があるわけではないみたい。

画像検索によると共通点はこんな感じ。
内装:白基調に青のインテリアで、窓が大きい
外装:白い。石みたいのがくっついていたりもする
色とかはギリシャのサントリーニ島をイメージしているのか??確かに地中海だけど。
そもそも、検索ワードにマンションって入れたのに一戸建てしか出てこなかった。やっぱり像を結ばない。
実際のアンケートでは写真とかついていたのだろうか?

7:都心の超高層マンション

超高層ってかえって不便そう。タワマンに住みたいと思ったことがない。
朝はエレベーターが混雑するとか、布団干せないとか。
災害のときに、水のタンク持って階段登れるくらいの高さにしか住みたくない。

江東区とかの埋め立て地にどんどんタワマンが作られて、わりと売れてたみたいだし、小学校の教室が足りないとか言ってたから投機目的だけじゃなくちゃんと住民もいるんだろう。
埋め立て地にわざわざローン組んでまで住みたいと思わない。会社の寮で無料~激安、数年間限定とかならいいけど。
東日本大震災のときに液状化とか散々問題になったのに、皆もう忘れてしまったのだろうか…?

どんな家に住んでみたい?

じゃあどんな家に住んでみたいかというと(アンケートの感じからして金銭面はあまり考えずに)、

・断熱材が厚く、二重窓があるなど冬でも室温が保たれる
・多少狭くてもいいからメンテナンスが楽
 (例)ビルトイン食洗機がある、ルンバが走り回れる、浴室にカビが生えない
・気を遣って生活しなくていい程度の防音性
・近所付き合いがあっさりしている

日本の家は寒すぎるから、住みたい家というと最初に思いつくのはそれだった。
なぜアンケートの選択肢に違和感があったかというと、見た目の話しかなくて住み心地とかメンテナンスの話が全然ないからだと思う。
家って住むものであって、眺めるものじゃないのに…

同じように考える人が多かったのか、結果は8(上記に住んでみたいと思うものはない)が30.4%だった。アンケート作りとしてちょっと失敗している気がする。

「オタク系」クラスタの回答

そして興味深いことに、「オタク系」は46.1%もの多数が8(上記に住んでみたいと思うものはない)と回答していた。

本書の他のアンケートも併せて考えると、「オタク系」の回答者は他のクラスタより若く(20代前半が半数を占める)親元におり、全体的に「分からない」という回答を選ぶことが多かった。たぶん家についてもあんまり興味がなくて、住めれば(+ネット環境があれば)いいのだと推測できる。そらそうだと勝手に共感した。

この本自体は結構面白かったけど、このアンケートはいまひとつピンとこなかった。ただ、自分ならどんな家に住みたいか考えてみるのは自分の譲れない点とどうでもいい点が分かって楽しいので、また折に触れて考えてみたいと思う。

マイホーム幻想

住宅展示場と幻想

最近はさすがに閑古鳥なのか遭遇しなくなってきたが、住宅展示場のCMは古臭くてびっくりする。
よくラジオで流れていたので覚えているものが一つある。

若い夫婦が幼い娘を連れて住宅展示場に行き、モデルハウスとイベントを楽しむ。
妻の口調は現実世界で聞くことのない「だわ」調で、モデルハウスで注目するのは「すてきなキッチン」や花壇。
「すてきね~」「憧れるわ~」など。
この時点でステレオタイプすぎてげんなりするのだが、まだ続きがある。
帰ってきたら娘は疲れて寝てしまうが、寝言でこんなことを言う。

「パパおうちがんばってね」

怖すぎ!
妻が吹き込んだのかと勘繰ってしまう。

家を頑張るというのは、頑張って住宅を取得するということだろう。
上記のステレオタイプっぷりからして専業主婦前提、子あり、そして(頑張るというくらいだから)35年ローン…
そんなに色々一人で背負えるか?重すぎる、危なっかしすぎる。
家を買ったとたん転勤になり、自分は住めなかったりして。

そういう諸々に目をつぶって「これこそが幸せなんだ!」と思い込ませるのがマイホーム幻想なのだ。

労働者と持ち家

かなり早くからエンゲルスはこの幻想に気付き、問題視していたようだ。

エンゲルスはエミール・ザックス『労働階級の住宅状態とその改良』を批判しつつ労働者の持ち家の問題に言及している。ザックスは労働者が住宅を所有することによって、「確実な支柱」を持つことになり「資本家になる」のだと考えている。アメリカン・ドリームとしての住宅の所有もまた、そうした幻想に結びついている。

エンゲルスの批判は、労働者が持ち家を私有することがいかに資本のシステムから逃れられないことになるのかということに向けられている。

エンゲルスは労働者の住宅は衣服と同じで、自ら取得したものを自身で使うのだからそこから利潤は生まれないし、取得すれば彼は「自己の家屋に対して家賃を払うことになる」(今日ではローンがそれにあたる)し、さらには都市生活者は自由に移り住むことができなくなる。しかも悪いことに、そんな状態にありながら、住宅を取得した労働者は自分もブルジョアになったと錯覚してしまうというのである(『住宅問題』)。

理念なき生活提案として、戸建て住宅を供給することは、たしかにエンゲルスが指摘するような面を持っていることは否定できなかった。

出典:柏木博「家事の政治学」(岩波現代文庫、2015年)

※改行・太字は引用者による

 

家を所有することで、働き続けなければいけなくなる。自分が住むための家は消費財と同じで利潤を生みださないにもかかわらず、これは資本だと錯覚している。
これは確かにそうで、現代にも大いに当てはまるといえる。「一国一城の主」とか。

アーリーリタイア、セミリタイアを考えるような人はここら辺のことに気づいていて、きちんと疑い自分なりの考えを持っているのだと思う。

何も疑わず「そういうものだ」「家を持って一人前」と思い何十年ものローンを組む人は、どうぞどうぞという感じで、私は別に止めたりしない。考え方は人それぞれだし、生計を共にしているわけではないから、説得する必要もないし押し付けたくもないのだ。だからマイホーム派も、こちらにその考え方を(アドバイスという体で)押し付けないでもらえればとお互い平和だと思う次第である。