生きるためのセミリタイア

当たり前を疑い、40代セミリタイアを目指す

「浪費するアメリカ人」―労働と消費、ダウンシフター【後編】

前編はこちら。

 

 旧版の表紙はなかなか強烈である。

 

 

3.労働と浪費、労働のコスト

時間の欠乏、ストレス、消費

残業続きだと遊ぶ時間もないのでお金が貯まるかと思いきや、ストレスで散財してしまう…という経験をした人も多いのではないか。

時間消費的でストレスの多い仕事はあらたな消費圧力を形成する。職場での労働時間が長くなると、時間と手軽さを重視するようになる。買う余裕のある人は、調理済み食品や持ち帰り用食品を購入したり外食したりする。また、ベビーシッターや掃除人を雇う。
(略)
何人かのダウンシフターが証言するように、職場の不満もまた支出の原因になる。「お金といえば、私がしている仕事が原因の満たされない気持ちや空虚な感じを埋め合わせるために、やみくもに遣いました。……ただ自分を保つために遣ったのです」

長時間労働→料理する時間もない→割高なテイクアウトや外食にお金を使う。

お金だけでなく健康にもよくない行為である。働いてお金を得たはずが、働かなければ使わなくて済んだお金というのも馬鹿にならないと思う。

食費以外にも、腰痛でマッサージに行くとか、判断能力が鈍ってネットで衝動買いとか、体調を崩して医療費とか…そんなに働かなければ不要だった出費である。

 

ダウンシフター

90年代に書かれたのに既にダウンシフターがいたというのが意外だが、収入も減るけど支出も減らして生活をダウンサイジングする人たちが登場する。

ドミンゲスの計画は、(略)富を得ることによってでなく欲望を小さくすることによって、労働の世界ですり潰されてしまうことからの解放を約束したものである。
(略)
彼らの計画は、すべての消費を細かく追跡することを伴う。単に追跡するだけでなく、たとえ買いたいと思ったものが何であっても、その価値をそのために金を稼ぐのに必要な時間と比較して吟味する。その計算は、働く時間をすべて考慮に入れ、仕事着の費用や、あまりにも疲れて料理できないので持ち帰り料理を買う費用を含め、仕事に関係する全経費を差し引いて、実際の時間賃金を決定する。実質賃金率が与えられることによって、あなたは、新しいカウチが三週間の労働に値する価値があるかどうか、四泊五日のバハマ旅行が一か月の稼ぎに匹敵するものかどうか、あるいは朝一杯のラッテにこだわってもう30分働きたいかどうかを計算することができる。その計画に従う人は、こうしたことを問題にするときには消費を減らすようになる。以前よりはるかに少なくなる。

ここでは、仕事に関する経費として料理できない分の費用とかまで算入しているところが厳密でよい。定時で帰れていれば家にあるもので食事を済ませられたのに…ということは多い。

この方法で、「あと△△時間余計に働いてでもそれが欲しいか?」と自問自答したら余計な出費はかなり減りそうだ。
労働の世界ですり潰されてしまいたくない!切実な思いである。

 

 

 

「浪費するアメリカ人」―ステータス消費と過剰な労働【前編】

過去の記事に書いた「じゅうぶん豊かで、 貧しい社会」の中で引用されていて興味を持った本。日本での刊行は2000年。 

 過去の記事はこちら。

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本書では、アメリカ人(主に中流階級)は働きすぎ・消費しすぎであるという研究結果のほか、減速生活者(ダウンシフター)の登場も紹介されている。

 

1.ステータス消費

化粧品とステータス

私たちのテストは、数十億ドルのビジネスである女性用化粧品から始めた。この産業は、容貌、錯覚、ステータスの機能に魅力的な表情を与える。化粧品会社は、いろいろな意味で、19世紀の怪しげな水薬売りとほとんど変わらない。
(略)
しかし、その効果がはっきりしなくても、女性は買いつづける。彼女たちは、何百回、何千回でも、リンクルクリーム、化粧水、アイシャドウやおしろい、口紅や化粧品に金を払う。それはなぜか。彼女たちは、高価なデパートで買うスリル、美しさと性的魅力のファンタジーにふけり、「ビンの中の希望」を買う、といった手の届く贅沢を求めているというのが一つの説明である。化粧品は、それ以外には全く味気ない日常生活からの逃避である。

※強調は引用者による。以下同じ。

 本書では、口紅は価格による品質の差がないこと、そして洗顔クリームのような自宅でしか使わないものに比べ、口紅のような人前でも使うものでは上位のブランド品を買う傾向が強いという研究結果が紹介されている。

これは日本で言うと、クレンジングはちふれだけど口紅はシャネルで、その逆の人はあまりいない…みたいな感じだろうか。LIPSとか見てると10代で普通にYSLのリップアイテムを使ってたりしてびっくりする。自分が高校生の頃はマジョマジョを買うのもおっかなびっくりだったのだが。。

化粧品、特に色ものは買いすぎがちなアイテムだと思う。以前にも書いたが、これを使えば一気にきれいになれる、毎日が輝きだすかのような妄想にとらわれやすい(=ビンの中の希望)のが化粧品という商品だと思っている。また、口紅でいうとブランドものでも4000円とかなので(十分高いけど…)、バッグなどに比べれば随分手ごろに見えるということもあるだろう(=手の届く贅沢)。

 

不安と消費

他の研究は不安感などの心理的な特徴に焦点を当てている。ピーター・ゴルヴィッツァーとロバート・ウィックルンドは、成績が悪く就職の見込みも少ない経営学専攻の学生は、高価なブリーフケースやペンや腕時計を買う傾向が強いことを発見した。

高級品を身に着けたからって「できるビジネスマン」になれるわけではないのだが、なんだか切ない研究結果だ。

消費とアイデンティティ

個人がステータスグッズを追求する可能性は、ただちにアイデンティティの問題を、そして、あなたが消費するモノとあなたが誰であるかとの関連を提起する。個々人の人格的特徴を消費者の選択と結び付けようとする試みは、市場調査において、かつて好んで使われていた。どんな種類の女性が普通に挽いたコーヒーよりもインスタントコーヒーを好んで買うか、誰がシボレーではなくてフォードを運転するか、マルボロを吸う男はどんな種類の男かを解釈するために膨大な努力が注がれてきた。
消費財は、自己を表現し、社会的人格(ペルソナ)を創りだす機会を人々に提供すると、いまでは広く信じられている。(略)「我買う、ゆえに我あり」。

上の化粧品の例でいうと、私はシャネルよりTHREEが好き、とか、エシカルでサスティナブルなブランドを選んでる、とかそんな感じだろうか。もちろん本人が満足していればそれでいいのだが。

それを選ぶことで自己を表現し、自分が差別化され形作られるのだという発想。でも、結局は画一的な大量生産品である。


準拠集団と「隣の億万長者」

これで私たちは、なぜ「隣の億万長者」が大半のアメリカ人とは対照的に貯蓄できるのかを理解することができる。彼らはけっして自分の準拠集団を変更しようとはしない。
(略)
どうやら教育程度が高いほど、ステータス志向が強く、自己顕示や地位のための消費に走りやすく、さらにあこがれの対象で自分が属したいと思うような上位の準拠集団についていこうと熱中するようだ。

本書によると、大卒・大学院卒の高い教育を受けた女性ほど浪費する傾向があるらしい。特に、準拠集団(隣近所とか職場とか)と比べて自分は少し貧しいと感じている人ほど、消費が多く貯蓄率が下がる。高学歴の人は職場でもっと高収入の人(上司、経営幹部)と接するので、ステータス志向が強くなるのではということだった。

「隣の億万長者」は日本でもよく読まれているが、稼いでも生活水準を上げないことが共通点だった。

日本でいうとこんな感じだろうか。勉強の得意な田舎出身者が東京の大学に入り、高収入の職を得たとする。地元の友達と仲良くし続けて、以前の感覚を失わなければ、かなりの資産ができる。

他方で、港区出身の同級生やら、実家が青山にビルを持っているという同僚やら、地元に残っていたら一生出会わなかったような人たちと自分も同じだと勘違いしたり、ついていこうとしたりすると、高収入であっても大変なことになる…

 


2.テレビと広告

テレビの影響

私の調査結果は、テレビを見れば見るほど支出が増加するということを示している。テレビと支出の関係については、テレビを見ると普通だと考えられるものの基準が引き上げられると説明できるだろう。テレビのスクリーンに描き出される生活スタイルは、平均的なアメリカ人のそれとはまったくかけ離れたものなのである。多少の例外を除けば、テレビの登場人物は中流階級の上層か、金持ちでさえある。
消費研究家のトーマス・オグインとL・J・シュラムによる研究は、この上昇傾向を確認している。テレビの視聴時間が長い人ほど、アメリカの家にはテニスコートや自家用機、オープンカー、自動車電話、プールがあり、使用人もいるものだと思う人が多い。

日本でアメリカのドラマを見てると「へ~、アメリカの家ってこんなに広くてプールまであるんだ~」と思いがちだが、アメリカ国内でもそうらしい。


広告の欺瞞

三日月形のマークがビューンと走り去る前に、ナイキは女性のパワー、自立、かっこよさを象徴していると私たちに信じさせたいのだが、本当に役に立っているのかどうか考えてみよう。ナイキは一日200万ドルを使って、女性にスポーツを奨励しているというが、ベトナムの女性労働者に支払う日給1.6ドルを考えれば、ごまかしではないのか。

時給どころか日給が1.6ドル…!

人種差別、性差別に反対する姿勢を打ち出しているブランドでも、他国の工場で低賃金労働(そして児童労働も)を強いていないのだろうか… 最近はちゃんとしているのだろうか…??

 

長くなったので後編に続く。

 

 

マイケル・ポーラン著「幻覚剤は役に立つのか」

文藝2021年春季号「夢のディストピア」に掲載の「身体と精神改造のための闇のブックガイド」で知り、気になって読んでみた一冊。
かなり分厚い本だが、印象に残った箇所をピックアップしていきたい。

 

文藝の記事はこちら

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1.本書の概要

本書でいう幻覚剤は主に、LSDとサイロシビン(マジックマッシュルームの成分)である。
第二次世界大戦中に発見されたLSD((LSDを発見したスイスの化学者アルバート・ホフマンの生誕百年祭には、なんと本人が登壇したという。をはじめとする幻覚剤は、精神疾患治療の研究がなされたり、セラピーに用いられたりしていたが、普及するにつれ現在イメージするような60年代のヒッピー文化につながっていく。

「ドラッグをキメろ、波長を合わせろ、社会に背を向けろ(ターンオン、チューンイン、ドロップアウト)」というスローガンまでできた。

その後、摂取中の事故などが問題視され、研究プロジェクトも休止されてしまった。

だが2006年以降、脳の特定部分の働きを測定したりする技術が発展したこともあり、幻覚剤の効果が見直されつつあり、末期がん患者の精神面のケアや、うつ病やアルコール依存症の治療などに有効なのではないかと研究が進められてきている。これを本書では「幻覚剤ルネッサンス」と呼んでいる。

 本書では、インタビューだけでなく著者自身が3種類の幻覚剤を使用した体験まで、克明に記されている。

 

 

2.パターンから脱する

1955年生まれの著者は、LSDは服用したことがなかったが、20代後半にマジックマッシュルームを試したことがあるという。

私は思いはじめていた――あのありがたい薬を若者に与えても無駄だ、あれはもっと歳を重ねて考え方が凝り固まり、毎日同じ習慣どおりに行動するようになった、私たちのような年配者にむしろ役立つのではないか、と。
かつてカール・ユングは、若者ではなく中年にこそ、人生の後半を切り抜けるために「神秘体験」が必要だと書いた。

※強調は引用者による。以下同じ。

経験を積み重ねてきたことによって、ほとんど自動的に出来事に対処することができるようになるが、そういうパターンから脱して、乳幼児のような感覚を取り戻せるのが幻覚剤の効果らしい。

このユングの言葉は知らなかったのだが、日本でスピリチュアル系にハマる人の年代も若者というよりは30代~40代くらいというイメージがある(女性の場合は婚活その他の焦り、妊娠出産育児関係、身体の変化とかがきっかけになってそうだけど)。 

3.体制にとって都合が悪い?

リアリーが「LSDは核爆弾よりはるかに脅威となる」だとか「LSDを摂取した子どもたちは君たちの戦争では戦わないだろう。彼らは君たちの仲間には加わらない」みたいな発言をしたのも、火に油を注いだ。これらはけっして根拠のない言葉ではなかった。1960年代半ばから、実際に何万人もの若者たちがドロップアウトし、サンフランシスコのヘイトアシュベリーやニューヨークのイーストビレッジといった通りに流れ着いた。青年たちはベトナム行きを拒んだ。戦闘意欲や体制側の権威は地に墜ちた。摂取すると人格が変わるらしいその奇妙な新薬がこのことと関係しているのは間違いなかった。

本書によると、幻覚剤を体験した人の多くは、「(陳腐に聞こえるかもしれないけど、)愛こそがすべてなんだ」と語っている。語られる感想は、全体的にジョンレノンっぽい印象を受けた。

言葉では表現しきれないが、世界と自分はつながっている、というかすべては一つなんだ!という感覚になるらしい。そんな感覚を経験した人が、戦争で殺し合いなんかするわけがない。まさにラブアンドピースだ。

米国で幻覚剤の危険性を警告するキャンペーンが行われたのも、そういう人が増えてしまうと国家にとって都合が悪いからという側面があったのではないか。

 


4.自我の消失―体験の共通点

私がインタビューした人の多くが、当初は完全な物質主義者や無神論者で、私と同じくらいスピリチュアリティとは無縁だったのに、神秘体験をして、この世界には私たちには知りえないことがあるのだと絶対的に確信したという人が何人かいた。物理法則がこの世のすべてを構築していると私は考えているが、それを超えた「向こう側」が存在するというのだ。あるとき話を聞いたひとりのガン患者のことがたびたび頭に浮かんだ。自分は無神論者だときっぱり言いながらも、「神の愛を全身に浴びた」と彼女は語ったのだ。

 

宇宙からの帰還 新版 (中公文庫)

宇宙からの帰還 新版 (中公文庫)

  • 作者:立花隆
  • 発売日: 2020/09/30
  • メディア: Kindle版
 

私はここで立花隆「宇宙からの帰還」で宇宙飛行士たちに宗教的な考え方の変化が起こっていたことを思い出した。すると、ずっと後の部分で言及されていた。 

おそらく、これが幻覚剤の効果のひとつなのだろう――思考の視覚化を阻む脳の抑制を緩め、思考を目に見える形にして説得力を与え、記憶しやすくし、忘れにくくする。宇宙飛行士が報告する概観効果は、広大な宇宙の海に浮かぶこの「青白い点」を論理的に理解する役には立たないが、実際に見るという行為がそれをこれまでになくリアルに感じさせる。たぶん幻覚剤も、その人の人生の問題あるシーンについて同じような概観効果をもたらし、おかげで行動を改めようという気になるのではないか。

 宇宙飛行士の場合、神の存在を感じたという人もいれば、信心深かったのに、神はいなかったと感じた人もいたのが相違点だと思うが。

スピリチュアル的なものを胡散臭いと思って距離を取っていた人(著者マイケル・ポーラン自身がそうである)でも、幻覚剤服用時の体験を語ろうとすると、自ら陳腐な言葉だと思いつつもスピリチュアルな表現にならざるを得ないところが興味深い。

 5.未来のメンタルヘルスケア

私は下戸である。飲酒しないと節約にはなるのだが、酒で気分よくなることができないという点に、なんとなく不公平感を覚えている。

そこで、アルコールに耐性のない人には、別途なんらかの薬物を許可して、医師の監督のもと、(ただし、いかにも病院という無機質な白い部屋ではなく、植物などがあって、リラックスできるような南国のスパ的なインテリアで、)摂取できるようにならないものかと考えることがある。
そんな妄想に似た記載を本書に見つけて驚いた。

一種の「メンタルヘルスクラブ」のようなものにときどき行き、サイケデリック体験ができる時代の到来を空想する者もいる。これは、(略)精神科医、ジュリー・ホーランドの意見だ。「スパ/静養施設とジムを足して二で割ったみたいな場所で、ガイドのいる安全な環境でサイケデリック体験ができるの」

 これは実現したとしてもかなり先だと思うし、たとえうつ病などの治療目的での使用が認可されたとしても、健康な人の使用は日本では無理そうだが、正直言って理想的だ。

オルダス・ハクスリーの「すばらしい新世界」に登場する、半錠でバカンスと同じ効果があるという薬「ソーマ」はとても印象的である。ソーマの存在により、ディストピア作品の中でも「この世界だったら行ってもいいかも…結構楽しそう」と思ってしまうのだ。オルダス・ハクスリーは自身も幻覚剤を使用していたので、本書に何度も登場する。

上記の「メンタルヘルスクラブ」がある世界は、ユートピアなのか。国家にとって都合のいい形(不満に目隠しするとか)で使われるのであればディストピア度が上がるが、本書で述べられているような体験と効果を各人の選択で得られるのであれば、それはユートピアかもしれない。

【後編:衣類について、2選】ちゃくま著「もっと簡単に暮らせ」感想~実践したい暮らしのコツ5選

 前回の記事に引き続き、ちゃくま著「もっと簡単に暮らせ」から暮らしのコツを紹介したい。

もっと簡単に暮らせ

もっと簡単に暮らせ

  • 作者:ちゃくま
  • 発売日: 2017/09/22
  • メディア: Kindle版
 

 前回の記事(買い物編) 

後編では、衣類について紹介する。

 


4.ユニクロは「フリフリ、ヒラヒラ、レース、リボン」から解放した(項目56)

ユニクロがシンプルな服を発信するまで、女性がこうした服を探すのは一苦労でした。中でもインナーはまさにその頂点にありました。
(略)
インナーを手洗いすることが「女性らしさをアップする」という謎の理論がまかり通っていました。所詮は単なる洗濯です。型崩れせずに綺麗になればよいので、洗濯機に入れようが結果が問題なければ良いのです。
ユニクロのインナーは、第一見た目がスッキリしています。好きでもない、着たくもない、フリフリヒラヒラとは無縁です。そして洗濯機でどんどん洗えます。「お風呂場で優しく手洗い」からも解放してくれました。(略)
さらには「女性はレースやリボンを身にまとうべき」という暗黙のインナーから発せられる空気からも解放してくれたのです。着心地が楽になっただけでなく、そういう意味で内面からも楽にしてくれた功績は大きいのです。

 ※強調は引用者による、以下同じ。


ユニクロのインナーは確かにシンプルなので、仮に買っているところや干してあるところを他人に見られたとしても、さほど気恥しくないと思う。
著者と私は世代が少し離れているため、そんなに女性物=フリフリ、レースばかりで圧力…というイメージはないのだが、「手洗い前提」で来られることへの違和感はすごく分かる。
例えばシーズン終わりに洗うニット帽とかと違って、インナーは毎日着るものだ。女性だけが1時間2時間多く与えられているわけでも、女性だけがベーシックインカムをもらっているわけでもないので、毎日手洗いとかやってられない。
布マスクやウレタンマスクを手洗いしたことのある人なら、イメージが湧くのではないか。毎日取り替える衣類を、手洗いなんてやってられないのだ。すぐにマスク用洗濯ネットが登場したことも記憶に新しい。

また、着心地の面でもユニクロの功績は大きく、1年くらい前のCMで「もう、常にどこかが痛いとか、違和感あるとか、無理だよね」といったことを話していて、すごく共感した。
なんか常に圧迫されて苦しい、チクチクする、でもそれが当たり前…なんてことはもう耐えられないのだ。そんな我慢は当たり前ではないと気付いてしまったのだ。

 

5.「傷んだ服を着るのは恥ずかしい」という価値観は、何かがおかしい

傷んでいる服を着ている日本人は見かけません。ちょっとでも毛玉ができていたら「恥ずかしい」という感覚が世の中全体にあります。現代日本では、たとえ洗濯をしてあっても、毛玉があるだけで「着るべきではない服」になります。
(略)
けれども、ちょっとした毛玉くらいで「処分が妥当」という空気の方が本来は異様であり、捨てることに罪悪感を覚える感覚こそが正常です。(略)毛玉くらいで「着てはいけない」感覚は「何かがおかしい」のです。
(略)
ふと疑問に思います。「まだ、履ける。気に入っている。しかし見た目が劣化しただけで処分をためらうことは、本当に『貧乏くさい』のだろうか?」ということです。


著者は、「もちろん外には着て行きません」という前提であるが、正直私は毛玉くらいなら着て行っていいと思う。
なにか気合の入った特別な外出、デートなどで相手にいい印象を与えたいとか、人に見られる場面だったら、考えるまでもなく毛玉などない服を着て行くだろう。
でも近所で買い物するくらいなら、いちいち他人の服なんて細部まで見ていないと思う。少なくとも私は見ていない。
毛玉くらいですぐ服を捨てるとしたら、レジ袋よりよっぽど環境に悪いんじゃないかと思う。

 

まとめ

項目が86個もあるので、人によって有益と感じるものは様々だと思うが、すぐ取り入れられるものが多く有益な一冊。
忙しい人は前著「簡単に暮らせ」だけ読んでも、十分役立つと思う。

 

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【前編:買い物について、3選】ちゃくま著「もっと簡単に暮らせ」感想~実践したい暮らしのコツ5選

 前回紹介した「簡単に暮らせ」が有益だったので、続編を読んでみた。

 

もっと簡単に暮らせ

もっと簡単に暮らせ

  • 作者:ちゃくま
  • 発売日: 2017/09/22
  • メディア: Kindle版
 

前回の記事はこちら。

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本書には暮らしを楽にするコツが86個も載っている。
その中から特に有益だと思ったものや、共感したものを5つピックアップして紹介したい。

この記事では前編として、買い物に関するコツを3つ選んでみた。

 

1.ポイント5倍をもらうより、5%の無駄な買い物をやめる(項目33)

結論を言えば究極の節約方法は「無駄な買い物をしない」ことです。

 

5倍というと多大な得に思えますが実際の金額に換算してみましょう。100円の購入額に対し、通常は1円のポイントが付きます。これがセールで5倍の付与率になると「5円」のポイントが付きます。差額は4円です。千円の買い物なら差額は40円、一万円なら差額は400円です。実際の付与額に直すと「5倍」のイメージほど多大な差ではないと気付きます。5倍のポイントを獲得するより無駄な買い物をしないほうがずっと確実な節約です

※強調は引用者による

この部分を読んで思い出したのは、消費税増税前の「駆け込み需要」だ。
例えば近所のドラッグストアで、増税前にとたくさん買い込んでいる人を見かけた。
でも、千円の買い物をして消費税8%で80円、10%だと100円。差額は20円。
一万円の買い物をしたら、消費税8%で800円、10%で1000円。差額は200円。

一万円もの買い物をドラッグストアですることは、まれではないか?
そんなに買っても、増税前後の差額は200円にしかならない。
なにか余計なお菓子一つカゴに入れたら、プラスマイナスゼロになってしまう。
気が大きくなって余計なものを買ってしまうぶんの金額の方が、ずっと大きいのではないか。
それは「ポイント5倍デー」も同じだと思う。

→教訓:実際の金額で考える!

 

 

2.夕方の値引きシールは高くつく(項目35)

実際の価格差よりも割合による数字の差の方にあおられやすくなります。例えば普段は198円のキャベツが298円で販売されていると、「高い」と感じて買う人が少なくなります。確かに割合を考えると1.5倍です。けれども価格差は100円です。1.5倍だから「高い」と思って買わないけれど、その価格差は100円です。
ところが198円のキャベツが298円では「高い」と感じて買わない‭人が、買うつもりのなかった定価800円の商品に半額のシールが貼られていると、差額は400円でも買ってしまいます

※強調は引用者による


もともと買うつもりだったもので、その日のうちに食べるとかなら半額シールもいいと思うが、
買うつもりのなかったものに400円を払ってしまっていて、それはキャベツがいつもより高いからと思ってやめた差額100円より、ずっと高い…身に覚えがある。割引シールの貼られた刺身とか。

半額だろうが、もともと買うつもりのなかったもの、必要のないものは買わない。

→教訓:買わなきゃ100%オフ!

 

 

3.無印良品週間で買うものが見つからないのはなぜか(項目51)

「今、無印良品週間だけど何か買う物なかったかな?」と買う物を無理やり探そうとしている自分がいました。すぐに買う物が思いつかない理由は簡単です。買う必要がないからです。
(略)
セールに関係なく必要なタイミングのほうが良い買い物ができます。それもあって最近は無印良品週間を無視して買っています。セールだと思うと財布のヒモが緩みます。

※強調は引用者による

 「今、無印良品週間だけど何か買う物なかったかな?」は本当に私もそうだった!と共感した。
もう長いこと無印のセールは利用していないが、特に困ったことはない。
既に紹介した1(ポイント5倍をもらうより、5%の無駄な買い物をやめる)と同じで、実際の金額で考えると、何か予定になかったものを1つ2つ買えば(無印だとバウムとか、レトルトカレーとか…)、10%オフの分はすぐ飛んで行ってしまう。
セールは無視するくらいでいい。また、無印良品週間で買おうと思って待っていると、同じ考えの人が大勢いるので必要なものが品切れで買えなかったりすることがよくあった。
それなら必要な時にそれだけを買った方が、ずっといい。

→教訓:セールは無視していい!

 

まとめ

3つの項目に共通なのは、

・実際の金額で考えること。
・必要な時、自分のタイミングで、必要なものだけを買うこと。

シンプルだが、これだけでだいぶ出費を抑えられると思う。

 

 

ちゃくま著「簡単に暮らせ」感想、実践したいシンプル化の方法5選

ちゃくま「簡単に暮らせ」(大和書房)

 

簡単に暮らせ (だいわ文庫)

簡単に暮らせ (だいわ文庫)

  • 作者:ちゃくま
  • 発売日: 2020/11/12
  • メディア: 文庫
 

 

著者のブログは時々読んでいたが、まとめて読みたかったので書籍で読んでみた。
本書には、暮らしをシンプルにする方法について100もの項目が掲載されている。

その中から、自分も実践してみたいと思った5つを紹介する。

 

1.連休のお出かけでも混雑にあわない方法(項目043)

コロナ禍で観光という感じでもなかったが、最近は人出が増えてきているので混雑を回避するためにも参考になりそうだ。

・朝早く行動する
・一般的なルートの反対回りをしてみる
・食事の時間を1時間早めにする

著者は、この方法でゴールデンウィークの鎌倉で、混雑にあわずに大仏を見ることができたそうだ。
どれくらい朝早いかというと、朝の7時過ぎに駅に着いて、拝観時間が始まるくらいにお寺に到着したらしい。

地元住民しかいないくらい朝早い時間に行けば、鎌倉ほどの観光地でも混雑回避できるというのが印象的だった。
やはり朝早く行動すると、一日が長く使える。真冬などは少し辛いが、これからの季節はやってみたい。

 

2.迷惑をかけ(限度はありますよ)、ワガママを言って暮らす(項目046)

「迷惑をかけず、ワガママも言わない」と思うと、他人の迷惑やワガママに過敏に反応して怒りが湧いてしまいます。
(略)
みんなの雰囲気がギスギスしているとか、窮屈な感じがするとすれば、それは各自の「我慢」が原因です。フタを開けてみれば苦しい思いで行っている我慢も、いざ、解放してみたらたいしたことがなかったりします。
(略)
自分も「迷惑をかけているしワガママも言っている」と自覚していれば、少々の周囲の言動も気になりません。「最近、やたら迷惑な人やワガママな人ばかりが目に付く」と感じることが多いとしたら、その原因は自分にあります。自分が何かを無意味に我慢しているから、自由そうに見える人が目に付くのです。
思い切って迷惑をかけてワガママも言ってみればいいのです。そうすると、他人の言動にも寛容になり、気が楽になります。

※強調は引用者による

自分が我慢しているから他人の行動が目に付き、ギスギスする…というのはまさに日本社会だと思う。
職場で言えば、定時に帰るとか有休を取るとか、やってみたらたいしたことなかったりするし、我慢せずやってみたらいいのに我慢していると、他人がそれをやることに対し不寛容になってしまう…といった感じだろうか。
「母親はこうすべき」とか同調圧力の類も、きっとそうだと思う。
自分がやりたいけど我慢していることを、自由にやっている人がいたとして、攻撃するようなことはしたくない。
セミリタイアを実現した人のブログにもかなりひどいコメントが寄せられているのを見かけるが、やっぱり自分が我慢してるから、自由そうな人が許せないのではないか。

3.「スッキリ暮らしたい」と思ったら、まず減らすもの10選(項目050)

著者は転勤族(の妻)で頻繁に引っ越しをしたそうで、その経験から減らした方がいいものが挙げられていた。
捨てにくいもの(スプレー、香水)やかさばるもの(カゴ、箱・紙袋、タッパーなど)、シーツの洗い替えなど。

スプレー缶や香水の捨てにくさは、私も部屋を片付けた際に実感した。スプレーものを買う時はかなり吟味したい。

髪型を変えて使わなくなったヘアスプレーやムース、中身を出さないと捨てられないので屋外で延々と噴射して、ビニール袋に入れたぼろ布などに吸わせなければならない。

香水も、口のところが開かないので延々プッシュするしかない。香水の活用法とかも調べたら出てくるけど、たいていは香りが気に入らないから使ってないのであまり参考にならない。
小分けなどでよっぽど気に入ったものだけを買うか、そもそも買わない、手放すなら早めにメルカリで売るのがいいと思う。ほかの化粧品と比べて、使用済みでもそれほど気にならないためか、私の場合は出品してすぐに売れることが多かった。

4.物を減らしたいのに「本を買いたい」と困惑したら(項目052)

電子書籍が出ていなかったり、やっぱり紙の本の方が好きなど。
私自身、読書が好きだが置き場所には限りがあり、図書館と併用しているものの迷う場面もある。

本を買う基準は、「迷ったら買う」です。通常、物、服とかバッグとか食器などは、「迷ったら買わない」方が失敗しないと言われています。けれども本はちょっと違います。
(略)
書店に並ぶ本は常に変動しています。
(略)
本の場合は、直に話を聞いたとしたら、何時間かかるかわからない膨大な量を、わずか1000円前後で知ることができるのです。(略)ですから本ほど、コストパフォーマンスの良い物はないのです。

本好きには嬉しい指摘だった。
買いまくるのはともかく、服とかの失敗と比べたら損失は少ないと思える。

 

5.「たたむ服」を減らせば服が減る(項目061)

服の話そのものより感銘を受けたのが、次の部分。

私は、いっとき、「たたむ収納」にしようと試みたことがあります。けれども、やっぱりしばらくすると元に戻ってしまい、丁寧にたたむことが億劫で仕方ないのでした。
それで気付いたのは、とにかく、自分の能力を過大評価しないことでした。未来の自分にも期待しないことです。「洋服をたたむことが苦手で、できるなら一枚もたたみたくない自分」を認めることがスタートです。
そうすれば、洋服は吊るして収納可能な量だけに絞ろうという気になります。

※強調は引用者による

自分の能力を過大評価しない、未来の自分にも期待しない!
これは他のことにもかなり当てはまると思う。

・こまごました飾り物を置いて、それをいちいちどかしながら掃除する能力があるか?
→ないな…極力飾ったりせず、物を少なくしよう。

・髪型を決めるとき、ヘアアイロンで巻いたりワックスを付けたりしてセットすること前提の髪型だけど、まぁできるかな?(期待)
→今までそんな習慣なかったのに、いちいちそんなこと毎朝やらないだろう。やめとこう。

という感じだろうか。未来の自分も今と同じかそれ以上にめんどくさがりだということを忘れないようにしたい。

まとめ

100項目もあるので、役立つものは人によってそれぞれだと思うが、淡々とシンプルに暮らすコツが書かれていて読みやすかった。
続編もあるようなので読んでみたいと思う。

 

「頭の中の貧乏神を追い出す方法」無駄遣いを防ぐコツ3選

菅原道仁「頭の中の貧乏神を追い出す方法 世界一役立つお金の授業」を読んで、特に使えそうだと思ったコツを3つまとめてみた。

 

 

この本の読者として想定されている人

既にお金のことを意識している人というよりは「なぜかお金が貯まらない!」という浪費家向けの本で、日頃からあまりお金を使わないようにしている人にとっては、「そもそもそんなことしないよ…」という内容も多い。
ただ、この本で述べられている脳のクセは誰にでもあるものなので、疲れているときなどは顔を出してしまう可能性がある。どんなクセがあるか知っておくと、そういうときにちょっと冷静になれるかもしれない。

1.値段の基準を上げない


「一度上げた生活レベルは、なかなか落とせない」
これも「現状維持バイアス」によるものです。
ここには「アンカリング」という心理現象も作用しています。
(略)
例えば、欧米の有名カフェチェーンが日本に入ってきたとき、コーヒー1杯が500円近くもすると知って、あなたは「高い!」と思いません
でしたか?
ところが、一度そのカフェを利用すると、そのあとは「高いことは高いけど、まぁいっか」と、その金額を支払うことにあまり抵抗がなくなります。
昨日まで高いと感じていたものが、その日を境に、高くなくなるのです。
脳は「過去に決定した、出してもいい金額」を、未来でも維持してしまいます。
(略)
そのため、あなたが「ちょっとした贅沢」「自分へのご褒美」として、一度大きな買い物をすると、その値段が基準となって、以降も高い買い物を続けることになります。


このカフェはスタバのことだと思うが、確かに高い。私が最後に行ったのは2・3年前だ。
毎日のようにスタバのカップを手に持って出勤してくる人とか、新商品は欠かさずチェックする学生とか、結構いるけどすごいなと思う。

一度大きな買い物をすると、その値段が基準となって、以降も高い買い物を続けることになります。
これは住む家もそうだと思う。家→家具→インテリア小物…と、際限がなくなってしまいそうだ。

「自分へのご褒美」は節約生活において禁句だが、その時の買い物だけでなく、その後の買い物にまで影響してしまうというのは恐ろしいことだ。

 

 

2.欲しいものを3点けなしてみる


レジに向かうのは、ちょっと待ってください。
そのまえに、とりあえず3点けなす。
(略)
自分の判断を疑う視点を持つと、メタ認知を、さらにメタ認知することになるんです。
(略)
商品を無理やりにでもけなすと、どうやらドーパミンが出なくなるようなのです。

いったん、「これ、いいな」「買おうかな」と思うと、買う理由ばかり頭の中に湧いてくることがある。
そういうときに一旦冷静になるために、「3点けなす」は有効そうだ。

「このマグカップかわいい!買おうかな」
→①持ち手の形が複雑で洗いにくそう、②かさばって収納スペースに収まらないかも、③既にマグカップは2つも持っている。
→やめとこう。
こんな感じだろうか?

買い物以外に、つい食べ過ぎてしまう時などもドーパミンに支配されている気がする。ドーパミンとの付き合い方は意識していく必要がありそうだ。

 

3.主体性を取り戻すために、「私は」と主語から話す


「主体性」がないから、外からの情報に流されやすいわけです。
(略)
主体性のなさは、私たちが普段使っている日本語の日本語の特質による部分も大きいかもしれません。
日本語は、「主語なし」でやりとりすることが多い言語です。
(略)
浪費しないためには、主体性を取り戻すとよいわけです。
そのために、買い物をしないときであっても、普段から意識的に「私は……」で会話を始めるクセをつけるのは、とてもいいと思います。
(略)
「ほかの誰でもなく、自分がこうしたい」と言うクセをつけるのです。こうすることで、「世の中ではこれが流行っているみたいだけど、私はそんなに好きじゃない」とか、「自分はこっちのほうがいい」とか、自分の気持ちをしっかりと捉えられるようになっていきます。


セミリタイアを考えるような人はその時点で普通ではないので、あまり周囲に流されないと思うが、「私はこうしたい」「私はこう思う」と言う習慣づけは有効そうだ。
誰かとカフェに行って、「私はお腹が空いていないので、コーヒーだけ」とか、
飲み会の誘いに、「私はまだ会食を避けているので、出席しません」とか。何か断る言葉を続けやすくなるのではないか。

まとめ

もともと浪費をしていない人にとっては全部が全部役立つわけではないが、サラッと読めて脳のクセについて知ることができ、有用だと思う。