生きるためのセミリタイア

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アンケート「クラスタ別 住んでみたい家」

三浦展「下流社会第3章 オヤジ系女子の時代」について

人々の考え方や好みはこんな風に変わってきていますよ、という本がわりと好きで、同じ著者の本を何冊か読んでいる。

 

三浦展「下流社会第3章 オヤジ系女子の時代」(光文社新書、2011年)

本書では、20代30代の女性を趣味によって5クラスタに分類している(文化系、アウトドア系、OL系、手作り系、オタク系)。ざっくりいうと、従来女性は好まないとされてきたオヤジ的趣味嗜好(歴史、登山、古書、建築、立ち飲みなど)を持つ女性が増えていますよという内容。

そのクラスタ別に、家についての好みを調べているアンケートがあり、これが本書で最も印象に残ったので紹介したい。 

クラスタ別 住んでみたい家(複数回答)

<選択肢>
1:昭和以前に建てられた木造の一戸建ての古民家・トトロの家のような家
2:昭和初期以前に建てられた木造の農家
3:京都などの町家
4:コンクリート打ちっ放しの家
5:建築家に頼んでつくった個性的なデザインの家
6:地中海風のリゾートマンション
7:都心の超高層マンション
8:上記に住んでみたいと思うものはない

三浦展「下流社会 第3章 オヤジ系女子の時代」(光文社新書、2011年)

※番号は引用者による

文化系の一番人気は3:京都などの町家 、これはなんとなくわかる。

OL系(美容やグルメなど、従来型の興味関心を持つ層を指す)では6:地中海風のリゾートマンションが1位、手作り系も6が一番人気で僅差2位が5:個性的なデザインの家、といった結果だった。

アンケートについての個人的な感想

自分だったらどう答えるか考えてみたところ、どう考えても8:上記に住んでみたいと思うものはない、になる…全然惹かれる選択肢がない。機能性とか快適さの考え方がなくて、見た目だけじゃない?
デザインの好みなのかライフスタイルの好みなのか、何を把握するためのアンケートなのかピンとこない。

1~3(トトロの家、木造農家、京町家)

寒そう。冬の朝なんか室内でも息が白くなりそう、足とかしもやけになりそう。使いにくくて管理がめんどくさそう。トトロとか昭和初期とか、トイレは汲み取り式?
京都の町家は底冷えして、人間関係もややこしそう。偏見だけど、すごい婉曲に嫌味を言われそう。。

あと、1:昭和以前に建てられた木造の一戸建ての古民家・トトロの家のような家、と2:昭和初期以前に建てられた木造の農家、の違いがよく分からない。どこが違うの?だいぶ重なっている気がする。トトロの家は木造農家の2倍くらい得票しており、トトロというワードが魅力的で想像もしやすかったのかもしれない。

古民家を改装したカフェとかに行くのは好きだけど、古民家に住もうとは思わない。
私が何度か行って気に入っている古民家カフェも、ストーブが何台も置いてあってブランケットも用意されている。
お手洗いを借りたら、普通に同じ屋内にあるしきれいにリフォームされてるけど、「外か?」というくらい寒かった。心臓が弱い人は危ないレベルだった。

4:コンクリート打ちっ放しの家

これもなんか寒そう。コンクリートという素材以外の情報がない。

5:建築家に頼んでつくった個性的なデザインの家

個性的なデザインというのは外観のこと?
家の外観なんて中にいたらわからないし、近所で目立ってもいいことない。

6:地中海風のリゾートマンション

これが一番謎だった。地中海風とは?地中海沿岸にマンションってあんまりなさそうだけど?全然イメージできなくて画像検索してみたけど、特にこれといった典型は出てこなかった。そういう様式があるわけではないみたい。

画像検索によると共通点はこんな感じ。
内装:白基調に青のインテリアで、窓が大きい
外装:白い。石みたいのがくっついていたりもする
色とかはギリシャのサントリーニ島をイメージしているのか??確かに地中海だけど。
そもそも、検索ワードにマンションって入れたのに一戸建てしか出てこなかった。やっぱり像を結ばない。
実際のアンケートでは写真とかついていたのだろうか?

7:都心の超高層マンション

超高層ってかえって不便そう。タワマンに住みたいと思ったことがない。
朝はエレベーターが混雑するとか、布団干せないとか。
災害のときに、水のタンク持って階段登れるくらいの高さにしか住みたくない。

江東区とかの埋め立て地にどんどんタワマンが作られて、わりと売れてたみたいだし、小学校の教室が足りないとか言ってたから投機目的だけじゃなくちゃんと住民もいるんだろう。
埋め立て地にわざわざローン組んでまで住みたいと思わない。会社の寮で無料~激安、数年間限定とかならいいけど。
東日本大震災のときに液状化とか散々問題になったのに、皆もう忘れてしまったのだろうか…?

どんな家に住んでみたい?

じゃあどんな家に住んでみたいかというと(アンケートの感じからして金銭面はあまり考えずに)、

・断熱材が厚く、二重窓があるなど冬でも室温が保たれる
・多少狭くてもいいからメンテナンスが楽
 (例)ビルトイン食洗機がある、ルンバが走り回れる、浴室にカビが生えない
・気を遣って生活しなくていい程度の防音性
・近所付き合いがあっさりしている

日本の家は寒すぎるから、住みたい家というと最初に思いつくのはそれだった。
なぜアンケートの選択肢に違和感があったかというと、見た目の話しかなくて住み心地とかメンテナンスの話が全然ないからだと思う。
家って住むものであって、眺めるものじゃないのに…

同じように考える人が多かったのか、結果は8(上記に住んでみたいと思うものはない)が30.4%だった。アンケート作りとしてちょっと失敗している気がする。

「オタク系」クラスタの回答

そして興味深いことに、「オタク系」は46.1%もの多数が8(上記に住んでみたいと思うものはない)と回答していた。

本書の他のアンケートも併せて考えると、「オタク系」の回答者は他のクラスタより若く(20代前半が半数を占める)親元におり、全体的に「分からない」という回答を選ぶことが多かった。たぶん家についてもあんまり興味がなくて、住めれば(+ネット環境があれば)いいのだと推測できる。そらそうだと勝手に共感した。

この本自体は結構面白かったけど、このアンケートはいまひとつピンとこなかった。ただ、自分ならどんな家に住みたいか考えてみるのは自分の譲れない点とどうでもいい点が分かって楽しいので、また折に触れて考えてみたいと思う。