生きるためのセミリタイア

当たり前を疑い、40代セミリタイアを目指す

「家畜化という進化ー人間はいかに動物を変えたか」2~雑感

 前回は要約だったが、今回は個人的に印象に残った部分を紹介したい。

 出産のジレンマ

人類の脳の進化にはまた、進化の保守的な面と、すでにあるものをいじくりまわしてやりくりする(ティンカリング)という自然選択の性質とがうまく映し出されている。二足歩行の成立が脳の増大よりもかなり前に起こったという偶然的事実は、人類の進化に重大な結果をもたらした。その一つが「出産のジレンマ」である。効率的な二足歩行には幅の狭い骨盤が必要である。一方、脳のサイズが大きいために新生児の頭部も大きい。分娩時にはこの大きな頭部が骨盤を通り抜けなければならないのだ。脳が増大するより前に骨盤の進化が起こったために、骨盤のサイズのせいで新生児の脳のサイズが制限されることになった。それでもなお新生児の頭は大きく、骨盤の幅が最大になる箇所に合わせて四分の一回転するという危ない過程を経なければ、出てこられないのだ。
人間の出産は、他の現生の類人猿よりもずっと困難で危険である。類人猿では新生児の頭部に対して骨盤のサイズには十分にゆとりがある。アウストラロピテクスでもそうだった。

※強調は引用者による。以下同じ

日本人女性は骨盤が小さめの人が多い印象なので、余計ダメージを受けるんじゃないか?それだって少子化の遠因だったりするんじゃないか?人間がパンダみたいな、妊娠に気づかないぐらいの出産だったらもっと生まれてる気がする。

iPhoneとかはもう十分進歩したと思うから、この「出産のジレンマ」をどうにかしてほしい。実はもう、人間の子宮以外で胎児を育てることは、技術的には可能だったりして。

 

人間の性差は小さい

進化心理学が創り出した「なぜなに物語」のなかでも言語道断なものとして、人間の性差に関するものがある。よくある進化心理学的なお話では男女の差が強調され、男性と女性は異なる種に属しているとまで思わせられる。しかし、第13章で見たように、ヒト科の系統では、性差(性的二型)は明らかに減少している。300万年前頃からすでにその傾向が見られる。哺乳類の標準から見ても、霊長類の標準やヒト科の標準から考えても、人間の性差はかなり小さい方なのだ。この事実は、自己家畜化仮説と矛盾はしないが、自己家畜化仮説の決定的な証拠となるものではない。またこの事実は、心理学的性差を含め、人間の性差についての「適応主義者のロジック」に基づく憶測に飛びついてしまいがちな人に、待ったをかけるものでもある。

すぐ「本能」とか持ち出す人には、そもそも生物はメスがオスを選ぶんだということを思い出してもらいたい。オスどうしの闘争に勝ったとしてもメスがそっぽを向くことだってある。
確かに人間、というか特にアジア人は性差が小さいと思う。女性のお尻にそこまで存在感がないところとか、マッチョな男性が少ないところとか。アジア人は幼く見えるというのはよく言われるが、人間の中でも特に幼形進化が進んでいるのではないか?