本書の趣味についての考え方が印象的だったので、今回はその部分に絞って紹介したい。
○趣味を始めるなら、教える側に回ることを考える
人が定年を迎えるぐらいの年齢になったとき、趣味とのかかわり方は、大きく2つのタイプに分かれます。
まず、老後を楽しめるような趣味を始める人。例えば、「年をとっても楽しみたいから」と陶芸を始めるとか、手芸教室に通い始めるとか。
もう一方は「教える側」に回る人です。長年続けてきた経験を生かして、書道教室を開くといったことですね。
教わる側と教える側の違いは何か。いちばん大きいのは教わる側はお金が出ていく一方ですが、教える側は収入につながる可能性があるという点です。
(略)ぜひおすすめしたいのは、今のうちに、将来「教える側」に回るような趣味を見つけることです。例えば今、40歳だとすると、60歳の定年を迎えるまで20年あります。週2回ずつでも趣味を続けていたら、60歳になる頃には、そこそこ教えられるようになると思いませんか。
この視点は新鮮だった。「消費するだけの趣味じゃなくて、発信したりして生み出す趣味にしていきましょう」といったことは見かけるが、「教える側に回る」という視点は今まで他の本などではあまりなかったのではないか。
10年単位で続けていたらそれなりのレベルになれそうだし、収入が得られたら儲けものだ。わかりやすい目標がないタイプの趣味であっても、長期の目標が立てられるかもしれない。
・「自己投資」という名の浪費に注意
ただし、気をつけたいのは「自己投資」という言葉は非常にあいまいで、都合よく解釈できてしまうという点です。
自己投資の名のもとに、「今が楽しいだけ」の趣味やレジャーにポンポンお金を使ってしまうと、“遊んで終わり”になりかねないので気をつけましょう。
ポイントは「ひとつに絞ること」です。(略)向いてないと思えばやめて、次のことを始めてもいいですが、同時にあれこれ手を出しすぎると、うまくいかないものです。
せっかく趣味に時間とお金を費やすなら、その場限りの遊びで終わらせるのではなく、将来の自分への投資にする。これも、できるだけ早いうちに身につけておきたい「お金の賢い使い方」のひとつなのです。
ネイルもエステも何でもかんでも「自己投資」とかいう人がたまにいるが、趣味も結構線引きが難しい。
趣味は単なる遊びで終わっても、楽しければまぁいいと思うが、お金をかけるのであれば、いつか教える側に回れるようにという投資の視点を持つ。
ただ、これを読んでいて思ったのは、よく分からない民間資格とか、○○インストラクターになれますよ、という高額セミナーも世の中にはたくさんあるから、それだと結局搾取されるだけで終わってしまうだろう。個人的には、「これさえ受ければ…!」みたいな謎のバラ色の夢を抱いてお金をつぎ込むのは、筆者の言っている趣旨とは異なってきてしまうと思うし、注意が必要だと思う。
自分が楽しいからやっているというのがベースにあり、お金は必要な範囲に絞る。「いつか教室を開くから回収できるよね!」というのはちょっと待て、ということだ。
・ 教える側の視点を持って習う
また、習い事をするときは教える側に回ったときのことを意識することも大切です。漫然と通うのと、「自分だったらどう教えるか」を念頭に置きながら参加するのでは全然違います。
習いに行くにしても、教える側の視点を持ちつつ受講する。そうすると、「こんなふうに伝えるとわかりやすいんだな」とか考えながら受けるので上達も早そうだ。
・まとめ
「老後」というような年齢になるまではまだまだ時間があるので、好きなことをやりつつ、教える側に回るという視点を持ちながら続けてみたいと思う。