魔女図鑑
子どもの頃、魔女になりたかった。
「魔女図鑑」という本が好きで、何度も読んでいた。
魔女の不気味なレシピや手芸、薬草やまじないなどが載っていて飽きなかった。
取れない汚れがついた服は黒く染めましょうとか、雑なライフハックみたいなものも魅力的だ。
登場する魔女たちは大抵若くはなく、それぞれ顔も体型も服装も違っていて個性的。
基本的に一人(と動物)で暮らしていて、魔女どうしの交流はあるけどわりとドライな印象を受けた。
性格は自分勝手だったり意地悪だったり、いたずら好きだったり、怠け者だったりする。
魔女=都合の悪い女?
薬草を扱い、産婆でもある「賢い女」と呼ばれた人たちが、魔女狩りの対象にされることもあったといわれる。
薬草や医療の専門知識がある、一人暮らしの高齢女性。
中世ヨーロッパといえば、女は客人をもてなすために差し出されたりとか、モノか家畜みたいな扱いをされていたらしい。
そんな社会において、若くなく生殖不可能な女や家庭に属さない女というのは、たとえ専門技能があっても煙たい存在だったのではないか?
魔女狩りの対象とされた人の中には男性も多かったらしいが、同様にコミュニティにとって都合の悪い存在が排斥されたのではないだろうか。
魔女とセミリタイアの共通点
そして今も、魔女のような存在になりたいと思っている。
ほうきに乗って空を飛びたいとか呪術で何かしたいとかではない。
社会から距離を保ち、自然に近い場所に一人で暮らし、時々は技能と引き換えに食糧など(=収入)を得る。
そういった暮らしに憧れがあるのだ。
そして今思えば、魔女の生き方はセミリタイアと似ているのでは?
実際には社会に害をなしていなくても、批判・攻撃しようとする人が出てくるところも似ているかもしれない。
私が子どもの頃にはセミリタイアなんて言葉はなかったが、憧れた魔女の暮らしはセミリタイア生活とよく似ている。
大人になっても基本的な考え方はあまり変わらないものだなと思う。
おまけ:おすすめ魔女映画
ジャンルとしてはホラー映画だが、家父長制において家父長が能力不足だと家族全員がめちゃくちゃ困る…ということを実感させてくれる作品。
気まずいシーンがわりとあるので一人で観ることをおすすめします。