DaiGoが絶賛しているから読んだわけではなく、お金と心理の関係には前から興味がある。
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人はクレジットカードやデビットカードで支払う時、ケーキやチョコレートといった健康的でない食品を衝動買いしやすくなる。やめられない楽しみにふける性癖は「現物」を手渡さなくてもいい時に旺盛になるらしい。
カードを使ったネット通販でポテトチップスを5袋もまとめ買いしたことのある私には、耳の痛い話だ。
何かを買いに店に入って選択肢が3つあるとき、高い方の値段を見て中間を選ぶのは間違い。
また、自分が欲しい物よりサイズが大きくて洒落た品があっても見なかったことにするか、買う前に自宅にそれを置いたところを想像してみることだ。
これはお金の本によく出てくる、「AランチBランチ」、松竹梅みたいなものだ。
高い方のランチを売りたければ、もっと高いランチ(松)を作って、もともとあった高い方を「竹」にすればよく売れるようになる。
後者について著者の経験した例はスーツケースで、欲しいサイズは決まっていたのに、店で見ると小さく感じたのでサイズを上げ、予定より高い金額を支払った。帰ったら大きすぎることに気づいた、というもの。
割引がパーセントで表示されている時は、ちゃんと計算して金額を把握する。決して相対思考にだまされてはいけない。
割引の表示を見ると判断が狂うとのこと。
アンカリング効果についてもお金の本ではよく出てくるが(元値が高いものが割引されてるとお得と感じるなど)、単位とかも異なる数値であっても判断に影響が出るらしい。
アンカー数値がいかに思考をゆがめるかの例が面白かったので紹介する。
ある古典的な実験から一組の質問を紹介したい。
ガンジーは亡くなった時、140歳より上だったか下だったか?
ガンジーは何歳で亡くなったか?
もう一組。
ガンジーは亡くなった時、9歳より上だったか?
ガンジーは何歳で亡くなったか?
どうみても最初の質問には意味がない。(略)だが先にこの質問をされると、次の質問に対する答えの平均は67歳になる。
一方、ガンジーは亡くなった時、9歳より上だったかどうかと先に聞かれると、亡くなった年齢の回答の平均は50歳まで下がる。
こんなに引きずられるのか、と驚きの結果だ。
1994~2010年の間に、貧乏なのは本人が怠惰で意志が弱いせいであると考える人の比率が15パーセントから23パーセントに上昇し、システムが不平等なせいと答える人の比率は29パーセントから21パーセントに低下した。
(略)
貧しいのを本人のせいにする人がいる理由の一つは、この人たちがいわゆる「公正世界信念」の信者だからだ。ここでは世界は全体に公正な場所であり、人間は概ね行いに見合ったものを手に入れると説く。世界をこう見ることで安心できる人もおり、人生をコントロールしている感覚を持ちやすくなる。
お金の心配がある人は脳内の「帯域幅」が狭くなって他の物事に集中しにくくなる。(略)ムッライナタンの研究によると、欠乏が思考に及ぼす打撃は、徹夜効果の80パーセントに相当する。
徹夜はかなり思考力を奪うので、その8割とは相当だ。
人生を直線状に延びるものではなく、循環するものととらえる考え方をお勧めする。(略)人間はそうそう変わるものではない。だからもしあなたが貯金が苦手なら、私からのアドバイスはこうだ。あなたの来年の行動は今年と同じパターンをたどる可能性が高いことを理解するといい。今できないことが将来できるかどうか、現実的に見極めることだ。
循環型思考のグループの実際の貯金額は別グループより80パーセント多かったという。
要するに将来の自分に期待しすぎず、「来年はもっと貯金できるだろう」ではなくて、来年も自分は変わらないから今ちゃんとやっておこうということだろう。